あなたが耳を塞ぐのを見て。
言葉はもういらないと思いました。
あなたが目を塞ぐのを見て。
笑顔はもういらないと思いました。

けれどわたしの体はあなたの前にあり。
あなたの体はわたしの前にあり。
手を伸ばせばすぐに届くはずなのに。
なぜかその距離はひどく遠く。

側にいるだけでは駄目だと悟ったわたしは。
あなたの側から離れることを決めました。
この胸にある愛の形すら忘れて。
ひとりで生きようと決めました。

けれどわたしはあなたを愛していて。
あなたの目と耳と掌がわたしを捉えて。
わたしの体に熱を点けることを望んでいて。

だからこんな寒い日には。
あなたを求めてわたしの心が泣くのです。