優しさがあり
憎しみがあり
慕情があり
嫌悪があり
安堵があり
恐怖があり
愛撫があり
暴力がある

これほどに多様な命を私は知らない
同胞を何のてらいもなく理由もなく見捨てられる命を
死の恐怖から最も離れながらも最も滅びに近しい命を

この命はあまりにも異常だ
けれど当の彼らはそれに気づけない
だから律法がある
だから刑罰がある

これほどに罪深い命を私は知らない
けれど私もまたその一人なのだ
最も滅びに近しい罪深き愛しき命の