懐かしい唄を口ずさんだ。
それはとても明るい音色の。
けれどとても悲しい唄だった。

こうして子どもは覚えていくのか。
優しさの中にある悲しみの粒を。

そう思ったとき。
自分が大人になったことに気づいた。

子どもは。
楽しげに歌う。
そこにある悲しみを知りながら。
それを直視しながら。

楽しげに歌う。


悲しみの姿を知るために。