いつからか道を見失っていたのか
 いつからか行き先を忘れていたのか
 鉛の様に重たい足を引きずり
 からからに乾いた喉を鳴らしながら
 細い嗄れた息を漏らしながら
 ゆっくりと大地に座り込む

 ……もう、歩けない
 脳が絶望に支配され
 言葉が体中から奪われてゆく

 ……だが、

 肩に当たる降り始めた雨が
 私に愛情の何たるかを教える
 掌に感じる湿りゆく大地が
 私に生きる事の何たるかを教える

 ……さて、歩いてゆこうか。
 例え道がなくとも、どこへ行くか分からなくとも
 そこに誰がいるか、分からなくとも
 ……歩いて、ゆくか。
 いつか私を支配するであろう
 安らかなる死の時の為に